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好きにしていいよ

第3章 なんで俺なの?





…こいつ、相当猫被ってる。


それはまるで、撮影現場で会った人物とは思えないほどの変わりようだった。

本能的に、近づいてはいけないようなそんな気がする…




『大丈夫です…それより早く出ていてくれませんか…もう俺一人で充分なんで…』



震える声で、そう言ってみる。

少しでも胸がときめいた自分が、バカみたいだ…


それよりも今は…



この黒谷敦也という人物が、無性に怖かった…



目も合わせられない…

獲物を狙う肉食獣のような鋭い目。




『俺が怖い?』

『別に、そんなことありません!』

『ふーん。だったらいいけど、捨てられた子犬みたいな目してるぜ』




見下ろす冷たい瞳が、からかうように笑ってる。

視線を逸らすと、物凄い力で身体を引き寄せられ唇を奪われてた。




『ふぅ…ぅ…んん』




息さえも奪ってしまいそうな激しいキスに、頭が朦朧としてくる。

逃げる舌を執拗に捉えて唾液の絡まる音さえも、甘い痺れに変わっていく。




『んっ、…はぁ…』




呑み込まれなかった唾液が首筋に伝い落ち、離れた唇からは銀の糸が尾を引いてプツリと切れる。




『もう、勃ってる…』




全身が沸騰したように熱くなって、身体が真っ赤に染まっていく。

こんな奴に感じてしまう自分を、殴ってやりたい。




『…っ、あんたなんか嫌いだ…』

『ふーん。
俺はお前のこと好きなんだけどな』

『からかわないでください…』

『まぁいいけど、それより身体ツラいだろ。一回抜いとく?』




伸ばされた手を、無意識に振り払う。

怒らせたと思って身体がビクついたけど、奴は何故か嬉しそうに笑ってた。






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