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好きにしていいよ

第3章 なんで俺なの?





熱ぽっい瞳で見つめられて、

まるで金縛りになったみたいに動けずにいると、俺の頬を大きな手のひらが包み込む。

黒谷敦史…

この業界では有名な人物でも、

会ったことさえもないし、認識していたのは名前程度だった。




『そんなこと言われても…』




どうしていいか分からない。

沈黙を破ったのは、黒谷敦史の方だった。

まだ頭が混乱して黙り込む俺に、優しく声をかけてくる。




『俺はお前のことが気に入ってるんだ…言ってる意味が分かるか…?』




優しい声が脳内に響き渡る。

先までの冷たい態度が嘘みたいだ…

バカで単純な俺は、意図も簡単にアンタのペースに嵌まっていく。




『んあっ!?』

『感じやすいな…どこもかしこも性帯感てやつか…』




腰を撫でられただけなのに、心とは裏腹に身体がビクビクと震える。

がっちりと腰を引き寄せられ、押し付けられた場所からは硬くて熱いものを感じた。



『やっ…触るなっ…』

『こんな身体で女が抱けるのか…て、抱く必要ないか…お前ホモだもんな…』

『アンタだって…っ』

『お前と違って人生経験豊富なんでね、女なんていくらでも抱いいたことある』




やっぱり…

こいつは意地悪で、流されやすい自分が嫌になる。




『俺のものになれ…』

『誰がっ…アンタなんか…ふぅ…んんっ!!』




強引に顔を持ちあげられ唇が塞がれる。

こんな奴なんて好きでもなんでもないのに、悔しくても俺からは甘い吐息しか漏れない。




『諦めろ、俺はお前に惚れてんだ』




甘い声で囁かれて、自分の意志とは関係なく身体の奥がゾクゾクした…




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