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好きにしていいよ

第3章 なんで俺なの?





…今頃になって、気づいた



アイツの笑った顔も、

優しく撫でる手の平も、

俺が好きだった先輩に似ていたんだ。




『バカだな…俺…』




ポツリと呟き、また涙が零れ落ちた。

もう振られて何年か経つのに、全然不切れてなんかいなかった。

痛む身体を庇いながら、なんとか立ち上がり、携帯電話を手に取る。




『もしもし…悪いけど、撮影場所まで迎えに来てくんないかな…今…俺…一歩も歩けねーんだわ…』




情けねぇな…

男のくせに、めそめそするなんて…




それから数分後…

マネージャーさんが来てくれた。

泣いてた俺に、驚いて問い詰められたりしたけれど、何も言う気にはなれなかった。


――――
――







…あれから、

黒谷敦史からなんの連絡もない…

俺が好きだって、
告白までしてきたくせに…




「もしかして、黒谷さんと何かあった?」

「べ…別に…」

「あったんだな…言いたくなかったらそれでもいいけど、大人なんだから勝手な行動は控えてくれよ」

「はい…」




会社の人間に取って俺はただの商品で、それ以外何もないて分かってるけど。

…なんだか悔しかった。




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