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好きにしていいよ

第4章 再開





口が塞がれては、抗議の言葉も言えやしない。

後頭部をがっちりと固定され、開いた手で腰を引き寄せられる。

熱い舌が咥内を掻き乱し、濡れたリップ音が酷く淫らに聞こえた。




気がつくと…

おっさんは姿を消し、そこには居なかった。




「…っんはぁ」




息苦しさに、すっぽりと包まれた黒谷敦史胸の中で暴れた。




「もうっ…いいから…離してっ…」

「嫌だと言ったら、どうする?」

「えっ…なに」

「なんでも言うこと聞くて、言ってなかったけ?」

「そ、それは…」




ふわりとと宙に浮く身体は、あっという間に荷物みたいに肩に担ぎあげられて。

行き交う人達の好機の視線が集まり、羞恥心が込みあげてくる。




「降ろせ~っ!恥ずかしいだろ!!」

「ダメだ。このまま俺の家まで連れて行く」

「だったら、自分の足で歩くからっ!」




冗談じゃない!

路上でディープキスまでして、今度は肩に担いで連れ去ろうとする。

いくらなんでも目立ち過ぎだっ!!

渾身の力で背中をバンバン叩くと、ようやく降ろされて悠は安直の溜息をついた。



「滅茶苦茶だな…あんた…」

「でも助かかっただろ?俺が来なかったら、ボコボコにされてたぞ」




確かにそうなんだけど…

もっと大人の対応をしてくれると、期待した俺がバカだった。

それが…

思い出しては、また顔が熱くなる。




「なにウブな反応してんだよ。俺達の仕事は見られてなんぼの世界だろ」

「もうっ…いいから…早く行こう!!」



兎に角、その場を早く離れたくて、黒谷敦史の腕を手に取った。




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