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好きにしていいよ

第4章 再開







「泊まってけよ…」

「明日、撮影だし帰るよ」




そう言って立ち上がろうとすると、黒谷敦史の胸の中へ引き戻される。

いつの間にか俺は、先輩よりも黒谷敦史のことで頭がいっぱいになってた。




自分でも気づかないうちに…




「俺だけのもんにしてぇ。て言ったよな…あれ…本気だから……」

「だったら、あんたAV男優辞める?」




黒谷敦史の心の中まで、読み取れるわけないけど。

俺だったら…

好きな男が他の奴のこと抱くなんて、絶対嫌だし。


臆病で意気地なしの俺が、軽はずみで好きなんて言っちゃいけない。




「じゃあね…俺…帰るから」

「帰らせたくねぇな…」




後ろから、ふんわりと包まれて。

こんなに人に想われたことなんて、今までなかった。

恋愛なんて、

いつも俺の一方通行だったから………




「お前…俺のこと好きだろ…?」




黒谷敦史は気づいてるんだ、




俺があんたに、

惹かれてることに……




「それ、あんたの自惚れだから」




もう傷つきたくないから、




だから…ごめん…




弱虫な俺は、

そう言うしかないんだ。





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