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好きにしていいよ

第6章 初めての媚薬






目覚めたのはベッドのなかで、

俺の手を握りしめながら、樋口大貴がスヤスヤと寝息をたてていた。


寝顔はこんなに可愛いのに…


そっと髪を撫でると、パチリと目の開いた樋口大貴と視線が絡み合う。




「ゆうちゃん…」




心配そうに覗く目が子犬みたい。

俺には媚薬の効果は、刺激が強過ぎるみたいで。

撮影中に意識を手放したんだ…




「ごめんね…皆にも樋口くんにも迷惑かけちゃた…」

「ゆうちゃんは心配しなくていいよ!!監督さんも良い映像が撮れたって、喜んでたし!!」




自分の不甲斐なさに、涙がでそうで。


そんな俺を樋口大貴は、元気ずけようと一生懸命慰めてくれる。




「俺がゆうちゃんに、無理させたから…」



「樋口くんは悪くないよ!それに凄く格好良かったし、気持ち良かったよ?」

「ほんとに、そう思ってる?」

「うん!仕事だって分かってるのに、ドキドキしたもん」




本当に俺のこと好きなんだ…

キラキラとした瞳がそう言ってる。




「ゆうちゃんにそう言って貰えて、めちゃくちゃ嬉しい!!」

「大袈裟だよ…」

「全然そんなことないよ!だって俺はゆうちゃんの大ファンだもの!!」




そこまで言われると照れくさい。

真っ直ぐで純粋で、樋口大貴という人物は物凄く良い奴だと思う。




「俺…ゆうちゃんに…もっと近づきたいし…」




頬に懸かる髪…


俺は樋口大貴にキスされていた。


触れた唇はすぐ離れて、まるで中学生のようなキス…




「それに…ゆうちゃんのこと…もっと知りたい…」




樋口大貴の顔は真剣そのもので、




俺はどうしていいか分からず、ただ呆然としていた…








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