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好きにしていいよ

第8章 お持ち帰りされちゃいました





黒谷敦史の声が聞こえる。

あまりにも会いたいと、幻聴まで聞こえてくるんだ…




「気軽に他の男あげてんじゃねーよ」




どうして…?

やっぱりそこにいるのは黒谷敦史で、怖い顔で俺を睨みつけていた。




「もしかして、だいちゃんのこと?」

「気にくわねーな。そこまで親密な仲になったわけ?」

「違うし…だいちゃんは…俺をここまで送って貰っただけだよ…」




何を怒ってるのかさっぱり分からない。

近づいてくる足音。

ギシリとベッドの音が響き、気がついたら、黒谷敦史が俺を見下ろしていた。




「なんで、あんたが…っん」




唇を塞がれて、俺の言葉は呑み込まれる。
久しぶりに感じた黒谷敦史の唇の感触と、心地良い体温。

激しいのに優しいキス。

追いかけてくる舌を、夢中になって絡ませた。




「んっ…ぁ」




離れていく唇が名残惜しい。

これだけじゃ物足りなくて、きっと俺はだらしない顔をしてると思う。




「ここまでな…俺としてはもっとしたいけどな…」

「いいよ、しても?」

「バーカ、撮影で倒れたんだろ」

「なんで知ってんだよ」

「お前ののマネージャーに聞いた」

「そっ、か」




俺よりマネージャーとの方が、仲良いんじゃないかて疑いたくなる。

そういえば、俺は黒谷敦史のことを何も知らないんだ…




「俺…あんたのこともっと知りたい」

「今日は、やけに素直だな…」




顔がカッと熱くなる。

弱ってるせいなのかな…少しだけ素直になれそうな気がした。




「好き…」




それは無意識で、ごく自然に…

もう誤魔化しきれないくらいに、黒谷敦史が好きで溢れ返ってる。

驚いた顔した黒谷敦史。

見開かれた瞳は、目を細めた優しい表情に変わる。




「うん…知ってる…」




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