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好きにしていいよ

第8章 お持ち帰りされちゃいました







黒谷敦史のうちに来たのは、これで二度目…

お姫様抱っこされて、まるで壊れ物を扱うようにベッドに降ろされる。




「ありがと…」

「…」

「なに?」




まるで観察でもするように、じっとりと見つめられる。

その視線はなんだか意味深で、非常に気になるんですけど…




「…っんだよ」

「いや、可愛いなぁと思って」

「うるさい…っ…」




黒谷敦史はクスリと笑うと、俺の頭を優しく撫でる。

愛しそうに見つめられて、じんわりと頬が熱くなっていく。

恥ずかしいけど、それがなんなんだか心地良かったりして…




「ちょっと待ってろ。なんか食わせてやから」

「あんた、なんか作れんの?」

「お前よりはな~」




そう言ってフラリと立ち上がる黒谷敦史に、自然と目が追ってしまう。

ドキドキと鳴り止まない鼓動に、頬が熱くなってくるのを感じた。

来たことはあっても黒谷敦史の部屋を見るのは初めてだし

痛む身体より好奇心が勝って、ベッドからそっと降りた。

趣味なのか高価そうなカメラが、いくつも置いてある。




「これ…俺がデビューしたやつだ…」




見覚えのあるパッケージが視界に入る。

それは綺麗に棚に保存されていて、いくつも俺が主演したDVDも置いてあった。

デビューしたての頃は、今よりも全然垢抜けてなくて…




「こんな奴のどこがいいんだ…」




ポツリと呟き、俺はパッケージを眺めていた。




「俺には天使に見えるんだけど」

「うわっ…っ!!」

「なんだよ。人を化け物みたいに…」

「あんたが…っ…急に現れるからっ…えっちょっ…」

「身体きついんだろ?大人しく寝てなさい」




黒谷敦史に担がれた俺は、またベッドに逆戻りだ。

それに…

あまりにも黒谷敦史が優しくて、調子狂ってしまう………




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