君はぼくの全て
第13章 補習 3
下を向く俺の頭にふわり、と感じたのは
…まーくんの、大きな手
「優しいね、かず」
「…え?」
思いがけないまーくんの言葉に思わず顔を上げれば
ちょうど夕陽が後ろから当たってるから眩しくて良く見えなくて
だけどどんな顔をしてるのかは、声で何となく分かる
「優しくないもん。…だって、やっぱり最初は喜んじゃったんだよ」
「うん」
「ざまあみろ、って思っちゃったんだよ」
「そっか。…でも、今日いっちゃん(池田)見たらそうは思えなかったんでしょ?」
まーくんの手が、髪を撫でる
「喜んじゃった事、悪いなって思ったんだよね」
「…うん」
髪の上をいったりきたりする手が気持ちいい
「いつも俺を優先するかずが、出来ないくらい辛かったんでしょ。
そう思うのは、かずが本当は優しいからだよ」
「まーくん……」
優しくなんか、ないのに
まーくんがそう言ってくれるだけでちょっと心が軽くなる気がする
いやだから、池田くんの怪我は俺のせいじゃないんだけど