君はぼくの全て
第15章 補習 5
「上手く出来るかなんか分からないけど、かずが欲しい。俺のものにしたい」
そんな熱っぽい目は反則だよ
俺だってまーくんのものになりたいし、独占したいんだから
ただね
やっぱりあれが気になって集中できる自信がない
まーくんとの「初めて」にそれはあんまり嬉しくないから
下から聞こえる笑い声に意識がどうしたって向いちゃう
…ちらちら視線が動くのを、しっかりまーくんは見ていたらしい
ふふ、と小さく笑うと
「もうすぐ、二人とも出掛けるよ?」
どことなく揶揄いを含んだ声で、耳許で囁いてみせた
「…え?」
「夕飯の時、言ってたよ?飲みに行くって」
知らない
色々変な緊張で話した事なんか覚えてない
…ってかさ
悪戯しながら言うのやめてっ
「…だから、声はもうちょっと我慢して」
「ふあっ」
言われた矢先に不意討ちにまた指でぐりってされたら、嫌でも出ちゃう!
涙目でまーくんを睨んだけど、困ったように眉を下げたまーくんの指は止まってくれなかった