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君はぼくの全て

第3章 3時間目


だめだめ

ネガティブになってどうする、俺

せっかくのデートなんだから気分上げなきゃ

朝からずっと一緒にいられるなんて滅多にないんだから


…なんて、悶々してたくせに

来訪のチャイムが鳴った途端、気分は急上昇

飼い主を待ちわびた犬みたいに急いで玄関に走る俺がいた

「まーくん!」

勢いで抱き着きたいのをグッと堪える

「おはよ、かず」

「雅紀くん、おはよう」

「おはようございます」

ああもう、かあさん邪魔だってば

わざわざ出て来なくていいから


「まーくん、行こ!」

さっさと靴を履いて、まーくんの腕を引っ張った

例えかあさんと言えど、あんまり喋って欲しくない

「うん、あ、行ってきます」

俺の代わりにまーくんが “行ってきます“ と挨拶する

「はーい、気をつけてね」

にこやかに手を振るかあさんに、挨拶代わりにベーっと舌を出した


外に出て気が付いた

凄く綺麗な青空は、まさにデート日和で嬉しくなる

「えへへ」

「なに、かず」

「まーくんと1日一緒」

「うん」

モヤモヤした気持ちなんて、どっかいっちゃえ

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