君はぼくの全て
第3章 3時間目
昨日と違って、手は繋げない
だから少しだけ触れる位置をキープして歩いた
それでも幸せなのは変わらない
それに遊園地の乗り物は基本2人乗りだから、その時にいっぱいくっつけると思えばこれくらい何でもない
「うげ」
駅の改札に、見慣れた…見慣れ過ぎてどうでもいい2人が立ってるのを見つけて思わず変な声が出る
すっかり頭から消えてた
そうだった、お邪魔虫がいるんだった
「おはよー!」
爽やかな声が憎たらしい
「チケットだけ置いて帰って良かったのに」
「朝からそれかよ」
「今から熱出ない?具合悪くなんない?」
「無理」
「あ、いっそそこ飛び出す?」
指差したのは横断歩道
「殺す気か」
「んー、入院くらいで許す」
「それ、俺?潤?」
「え、そりゃもちろ「かーず」」
まーくんが俺の頭をぽんぽんした
“もうおしまい“ の意味だ
「うん、まーくん行こ」
どさくさに紛れて腕に絡みつくと、まーくんが少し困ったように目を細めた