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月明かりの追憶

第7章 今に生きる

・玉森side

玉「待った?」

宮「ぜーんぜん、ニコッ」



俺がセンターに持っていかれたのは、ある日とつぜんの事だった。

それまで、いつも宮田が隣にいたのに。



宮「何処へ行こうか?」

玉「言っとくけどアニメートは行かない」

宮「あはっ」



困惑、戸惑い。

あれから何年も経った今でも、宮田の寂しそうな表情が昨日のことのように目に浮かぶ。



玉「俺さ動物園に行きたいんだ」

宮「はっ?天下の玉森 裕太さんが!?」

玉「取ってねぇし、フッ」



千賀の悔しげな顔も…

歌なんて、独りで唄ったことなんかなかったから超ヘタクソで。

音は外すし、もう最悪だったっけ。



宮「タマさん着いたぁ」



でも今は、ステージに立つのが楽しくて仕方がない。



宮「よーし、たくさん見るぞぉ」

玉「なに気合い入れているんだよ、クスッ」



もっと、もーっといろんな役をやってみたいし。



玉「うわっ、可愛い」

宮「あっ、千ちゃんがいる」



(ゴリラか、クスッ)


モモンガのテトを亡くしショックを受けていたとき、傍にいて支えてくれたのが宮田だった。



宮「タマ、俺 思うんだけどね」



動物は人間より寿命が短い、だから精一杯 愛情を注ぎ飼い主はその死を受け止め生きて行かなければならない。

(そうだね)

前を向かなくっちゃ、でなければテトが悲しむ。

沈んでいた自分に、宮田が言った言葉が脳裏に甦る。



宮「あっ、モモンガ」



テト、俺は元気だよ元気で大好きなやつと一緒に生きています。

その檻の前で、テトの仲間たちに報告をした。




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