テキストサイズ

月明かりの追憶

第7章 今に生きる

春日「あのね俺も時々、夢に見るんだ、ニコッ」

北「夢?」

春日「そう、フッ」



その瞬間、何かがフラッシュバックをしたかの如く目の前がピカッと光を放ち。



「セレネ姫、ルーク様がおいでになりました」



なんだ?この感覚…



「ルーク」

「麗しの我が姫お元気でしたか、ニコッ」

「はい、フフッ」

「さて今日は何をいたしましょう?」

「お願いがあるの」

「んっ?」



ハッと我に返ると―



春日「取り合えずメシ食いに行こうか、ニコッ」



春日さんがいて…



春日「へい、タクシー」

北「いますけど、そこに」

春日「あははっ、ここタクシー乗り場だからね」

北「ふっ、クスッ」



ブロロロ、懐かしいような…

そういえば初めて会ったときも、こんな感じがしたな。



「お父さま、お父さま」

「ルークが傍にいます姫、これからは私が貴女さまの父親代わりに」

「ルーク…ヒクッ」

「はい、ニコッ」

「ずっと傍にいてね」

「お望みとあらば」



俺は、全部の記憶を取り戻していたわけじゃなかったから。



北「うっめぇーこの蟹、最高だわ」

春日「クスッ、北山くんてホント嬉しそうに食べるね」

北「ビールおかわり」

春日「飲み過ぎると明日の仕事に差し支えるんじゃない?」

北「お休みでーす」

春日「ならどんどん行こう酔い潰れたらこの春日が介抱してあげる、ねっ」



春日…さん?

数分後、気がついたら俺は見知らぬ所にいた。

ここ、どこ?

暗闇の中、誰かが傍にいる気配を感じる。

湿った嫌な空気…ハッ

が、俺はこの感覚を知っていた。それは、明らかに魔の気配だったから。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ