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月明かりの追憶

第1章 はじまり

・北山side

それは、ひと月ほど前に実家へ帰ったときの事だった。



「お帰り宏光」



いきなりポッキーが喋った、なーんて誰が信じると思う。

それから、マンションへと連れて戻り。



「なに独りでブツブツ言っているの」



つうかさ、こいつ人の心の中を覗けるみたいでよ。



「宏光だけね」



わけ分からないわ、やりずらいったらありゃしない。



「なんで?意志疎通ができ便利じゃん」



そうかもしれないけど。



「で、あれで本当に良かったの?」



あぁ、横尾さんは皆を危険な目に遭わせたくないはずだ。



「けど、それじゃ誰にも護って貰えないよプリンセス」



そんなふうに呼ぶんじゃねぇ。



「でも」



大丈夫だって、自分の身くらい自分で護れる。



「捕まっちゃったくせに」



あれは、ちょっと…なんだ油断してただけさ。



「ほんとかなぁ」



それに俺にはほら、これがあるからよ。

手元には巾着袋が、中には赤・金・緑・水色の4つの玉が入ってる。



「本当は彼らに渡さなければならないのに」



けど、そしたらあいつらを巻き込んでしまう事になる。

俺のために命を投げ出すなんて、そんな事させられるかっつうの。

絶対に―

4つの玉には、星の精霊の力が宿っているんだとポッキーは言った。

持つべき人間が手にしたとき、それは魔法の武器へと変わる。



「ねぇ何度も言うけど」



んだよ。



「確かに持っていれば御守りにはなる普通の魔物ならエナジーを吸い取ることは出来ないからね、でも」



分かってるって強い奴には通じない、そう言いたいんだろ。




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