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月明かりの追憶

第1章 はじまり

クゥン―

心配そうに上目遣いで俺を見つめているポッキー、そんなこいつを見ていたら初めて会った日のことを思い出す。

その瞳に惹かれ飼ってしまったけれど、もうその時からお前は俺を分かっていたんだよな

月の使者として―

危険が及ぶような時が来たら、4つの玉を渡すつもりで傍にいた。

突然そんなことを言われたときは驚いたぜ、俺と藤ヶ谷が前世で恋人同士!?

なーんかピンと来ないけど、その記憶を取り戻したわけではないし。

だから、最初は信じられなかったんだ。

でも、あの魔物が現れイキなり白い煙みたいなのを吐いたかと思ったら意識を無くしてしまい。

気がついたら、心配そうに覗き込むあいつらがいてさ。

それから、横尾さんの俺を見る視線。

気づかれているかもしれない、そう思ったからボッキーを楽屋へと連れて行った。

タマたちの最期を見せれば、絶対にそれを避けると思い。

藤ヶ谷―

眠ったふりをしている俺の耳に聞こえて来た、あいつの声。

なんとしても、捜し出す気満々なのが分かった。

だけど悪い、お前を含めキスマイメンバーや郁人・トッツーたちを危険な目に遭わせたくはないんだわ。

だから、気づかれるわけにはいかねんだよ。

恐怖心がなかったわけじゃない、ただ大切な仲間たちを命の危険に晒すことだけはしたくなかった。

そんな俺の行動が後々、自分の首を絞める事になろうとは思いもせず。

このときは、まだ気をつけていれさえすれば大丈夫だと思っていたんだ。

その日が来るまで―




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