テキストサイズ

月明かりの追憶

第7章 今に生きる

「逃げるのです早く」

「ルーク!」

「私が奴らを引き付けている間に」

「でも」

「いいですか貴女の純潔はエリオ殿のもの汚らわしい魔物などにあげてはなりません」



ルー・・・ク?



「死しても尚この想い貫き通す!」

「だめっ」

「それが愛というものだ」



ザクッ!



「いやあぁーーーっ」



響き渡った自分の悲鳴。



春日「北…山‥くん」

北「ハッ、春日さん」

春日「ここを…真っ直ぐに行くと」



えっ?



北「つまり、それって」

春日「そう…マンホールの‥下です」

北「そっか、だから湿気が」

春日「北山くんなら行けるでしょう」

北「春日さんは?」

春日「私は、クッ」



ちょ、どうしたんだよ。

いきなり、苦痛に顔を歪ませ初めて腹部に眼をやると。

(血!?)



北「これは」

春日「行く…んだ…早く」

北「なっ!?なんで、こんな怪我を」

春日「いいから、行きな…さい」

北「嫌だ、春日さんを置いてはいけない」

春日「ふっ、貴方って人は変わらないね」

北「‥‥っ」



なんだ?なんなんだ、この感覚。



北「俺に掴まって」

春日「無理…です‥君では…支えきれない」

北「そんなこと」

春日「いいえ、フッ」



弱々しく首を振る春日さん。

駄目だ、このままだとヤバいって何とか何とか病院へ。



「…光」



そうだ、タマかハッシーに頼めば。



「ひろ、どこだ」



(太…輔?太輔えぇーっ)

俺は、この時になってやっと藤ヶ谷に助けを求めたんだ。

太輔、早く早く来て春日さんが死んでしまう。



「えっ!?」



頼む、早くハッシーかタマを連れ。

ルークを助けて、クッ

過去から未来へと繋がる橋を渡れた者は、現世で再会し新たな絆を結び合う。

俺達が、そうだったように春日さん貴方も。

きっと、これからは…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ