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月明かりの追憶

第1章 はじまり

その日の夜―

家へ帰ると俺は風呂に入り、昼間の出来事を思い浮かべていた。

ザバーッ!



藤「ブルブルブル、忘れよ何かの幻覚だって」



何度も顔を洗い、呟く。



藤「きっとあんな夢を見たから影響を受けちゃったんだ」



うんそう、そうに決まっている無理やり自分に言い聞かせ。



藤「もしもし、わたー」

横「どうしたの太輔?昼間、会ったでしょ」

藤「うーん」

横「まだ気にしているわけ」

藤「まぁ…ね」

横「子守唄でも歌ってあげようか?」

藤「はっ?逆に目がさえちゃうわ」

横「あははっ」



だって、わたが歌うと全部ツボっちゃうんだもん俺。



横「もう寝なさい」

藤「分かった」

横「おやすみ」

藤「おやすみ、わた」



喋るだけ喋って眠りにつき、チッチッチッ、時計の秒針の音が夢の中へと誘い。



「プ…リンス‥プリンス」



何処からともなく声が聞こえ…



「プリンス!」



うわっ、なに!?頭の中から声がする。



「聞こえますか?お返事を」



誰のこと?



「貴方さまの事です地球のプリンス」



はっ?何を言っているんだよ俺は皇族でもなんでもない普通の家庭で育った人間だ。



「いえ確かです今は生まれ変わり前世の記憶が失われているにすぎません」



寝よ、頭がおかしくなりそう。



「月のプリンセスを」



えっ?



「あの方を早く捜して下さい」



あの、いい加減にしてくれない。



「不幸な過去を繰り返すおつもりですか」



そんなこと言われても、わけ分からないし明日は早いんだ勘弁してくれ。



「‥‥‥」



しかし、その日が始まりだった。

それから毎晩、いや毎日のように昼夜問わず頭の中で聞こえるようになり。

だけど、さすがにこんな事わたにも話せず日が過ぎていく。

そんな、ある日のこと。



藤「トッツー、いきなりどうしたの?」

戸「話があるんだけど時間、作れない?」



久々に、トッツーから電話が掛かってきて。



藤「あ、じゃあ」



俺は、そこで思いもかけない話を聞くことになる。

前世での自分の…




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