月明かりの追憶
第3章 魔の刻 再び
「いらっしゃいませー」
そこはとある繁華街、そういった店が立ち並ぶことで知られていた。
「あら有名人の御来店よ」
そのうちの、一軒の店へ入った俺達は。
“俺ね、実はゲイなんだ”
ふーん、そうだったのか。
岬「気を紛らわしたいんだったら、こういった店がちょうどいいんじゃない」
藤「んまぁ」
岬「多少、ハメを外しても大丈夫だしさ」
藤「確かに、フッ」
それから、どのくらい飲んだかなんて覚えていない。
岬「ねっ、それって藤ヶ谷もこっちの世界に来ちゃったってこと」
藤「まさかぁ、ハハッ」
岬「俺にはそう聞こえたけど違うの」
酔いもあってか、今の自分の心境を話してしまい。
岬「北山 宏光…か、フッ」
藤「おい、変なことを考えるんじゃねぇよ」
岬「変なことって?ニヤッ」
藤「いや、だから」
岬「んふふっ」
妖しく笑う岬裕弥―
あれ?こいつって、こんな奴だっけか。
岬「可愛い顔しているよな」
藤「えっ」
岬「30過ぎには見えない結構タイプだったりして、ニッ」
藤「ちょ、マジでやめろって」
岬「まだなんにもしてないじゃん、クスッ」
いや、されてからじゃ遅いし。
岬「ねぇ俺がどうしてジャニーズをやめたのか知ってる」
藤「はっ?」
すると、こいつは。
岬「お前ってさ昔はただ黒いだけでボーッとしてて、やる気があるんだかないんだか」
ペラペラ、ぺらぺら喋り始め。
岬「分からないやつだったけど何故だか先輩には可愛がられていたよな」
藤「えっ?あ、うん」
岬「風間くんとか裸の少年で藤ヶ谷 父さん、なーんてあだ名まで付けられてさ」
だから、なんだよ?
岬「それから入所して来たのが北山 宏光」
何が言いたい?
岬「Kis - My - Ft ってグループが出来上がり」
俺が、北山とコンビを組むきっかけとなった。
岬「お前さえいなければ」
なにを言っているんだ!?
岬「でも神様は味方をしてくれたぜ、ニヤッ」
クラッと目眩がしたかと思ったら、そこからの記憶がなく。
気がつけば、何処とも分からぬ暗闇の中にいたんだ。
自由を奪われて―