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月明かりの追憶

第3章 魔の刻 再び

・北山side

ラジオの収録が終わり家に帰ると、母さんから連絡があった。



北「で?どうして俺のところへ連れて来るわけ」

母「仕方がないでしょ、ついて来ちゃったんだし」

ポ「わんっ」

北「わんって、お前なぁ」



ジーッと俺を見つめる瞳、何かもの言いたげに。



北「んっ?」

母「じゃ宜しくね、ガチャ」

北「ちょ、母さーん」



バタン!

行っちまった、だからって預けに来る?信じられないわ…ハァ



北「俺ね今それどころじゃないのよ」

ポ「クゥ」

北「藤ヶ谷、消えちゃったし事務所は大騒ぎでさ」

ポ「クゥン」



ふと思い出す、何気に聞いた言葉。



宮「ガヤさんキタミツの事ばかり気にしてるね」

千「そりゃそうだろ、あんなことがあった後じゃ」



“あんなこと?”



宮「あれ見たとき本当にキタミツのこと大事なんだなと思った」

千「いやでも、だからってキスする?」



“きっ、キスうぅ!?マジであいつが俺に?”



北「なぁ、ポッキー」

ポ「クン」

北「藤ヶ谷、戻って来ると思う?」

ポ「クゥーン」

北「お前も心配してくれるんだ Thank youな、フッ」



と、そのとき意を決したかのようにポッキーが俺のことを見つめ。



北「んどうしたんだよ?」



抱き上げた、次の瞬間。



北「うっ、わああっ」



なんだよこれ!?何が起きた、頭が割れるように痛い。



「宏光…宏光‥」



誰で俺を呼ぶのは?

暗闇の中、ひとりポツンと座り込んでいる人影が見える。



「北山、今頃なにをしている」



藤ヶ谷?えっ、どういう事。



「絶対お前は、ここへ来るんじゃない」



はっ?



「くっそーこんな所に閉じ込められてるから何もできやしない、クッ」



そこ何処?どこにいるんで、おまえ。



ポ「クゥン」



はっ、これポッキーが見せてるのか?



北「なわけないよな、ハハッ」



その瞳を見ていると、不思議な感覚に包まれる。

そして翌朝になっても藤ヶ谷とは連絡がつかず、さすがに俺も焦りを覚え始めていた。

そのとき、響き渡った携帯の着信音。

誰で?知らない番号だな。




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