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月明かりの追憶

第3章 魔の刻 再び

・北山side

朦朧とした意識の中で、藤ヶ谷の声が聞こえた気がした。

“北山、ニコッ”

おまえ何処にいたんだよ、心配してたんだぞ。

“ごめん、フッ”

目の前に見える藤ヶ谷は、優しい眼差しで俺を見つめ。

“北山、俺のことが好き?”

はっ?何をイキなり聞いているんだわ。

“俺は好き、フッ”



「その身体すべてをモノにしたいくらいに、ニヤッ」



と、怪しく笑った顔が見るみる変化していき。

うわっ!?お前は誰だ藤ヶ谷じゃね、返せ俺の藤ヶ谷を返せえぇーっ



藤「北山あぁーっ」



ハッと気がついたら、意味不明な場所にいてよ。



岬「なっ、どうして!まだ覚めるわけないのに」

藤「北山、北山あぁ」

北「藤…ヶ谷?ちょ離せ、なに人のことを」

岬「おい約束はどうした」

北「約束?ひとに変なものを飲ませ何が約束だ」

岬「ふーん、そっ」



すると、岬は。



岬「なら仕方がない、こうするしか」



すっと立ち上がり、側にあった竹刀に手を伸ばすと。



北「待て、どうするつもり?」

岬「見ていれば分かるさ」



焦る俺の前で不適な笑みを浮かべ、ツカツカッと藤ヶ谷のところへ行き。

振り上げた、次の瞬間!



岬「バシッ」

藤「うあっ」

岬「バシッ、バンッ」

藤「うっ、くぅー」

北「やめろ、やめてくれ」



苦痛に歪む、その表情を見て堪らなくなって叫ぶ。



岬「なら黙って俺に抱かれればいい喘ぎ、こいつの前で淫らに乱れまくり」

北「てっ…めぇ‥クッ」



バシッ、バシッ!



藤「くっあぁーよせ北山」

北「藤ヶ谷!」

藤「そんな挑発に、のるんじゃねぇ…ハァハァハァ」

岬「煩い、おまえは黙っていろ!」



ビシッ、バシッ!



藤「あっ…くっ」

北「藤ヶ谷、藤ヶ谷あぁ」



と、汗ばんだ顔で俺を見ると藤ヶ谷はふっと笑い。



北「‥‥っ」

藤「大…丈夫‥だから」



おまっ―

“護ってやるよ”その顔が、そう言っていた。

だから、言いなりにはなるなと。




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