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月明かりの追憶

第4章 募る想い

・北山side

あの日以来、俺は常に藤ヶ谷の視線を感じていた。

くっ、お前どうして俺をそんな眼で見る?

それは熱い眼差し、その瞳を見ると自分の中で危険信号が鳴り響く。

なんでだよ。

胸がキュンと締めつけられ苦しくなり。

あいつに抱きしめられてから、俺はおかしくなってしまったのか?

もし今なにかされたら、きっと拒むことができない気がする。

そんなバカなことさえ考えてしまう自分がいた。



二「ミーツ」

北「んなに?」



だからいつもにも増してニカの傍にいてよ、こいつと一緒にいると安心するし。



玉「わた」

横「うん」



が、かえって藤ヶ谷の欲を増長させてしまっているとは気づきもせず。



横「まだ見えるんでしょ太輔の後ろに」

玉「以前より大きくなっている」

横「闇の気配か?」

玉「たぶんね」



大好きな藤ヶ谷の笑顔、それを曇らせているのは自分。

トイレで、あいつに壁へ押しつけられた時にそう思った。

だけど恐いんだわ、それを受け入れたらどうなってしまうのか。

前世の自分は女でも今は男、俺ら男同士なんだぜ分かっているだろ藤ヶ谷?

それでもお前が望むのなら、そう考え始めていた時だった。



横「ミツ、ちょっといい」



横尾さんから声が掛かったのは、そしてマンションに行ってみれば。



北「えっ、タマも?」

横「太輔のことなんだけどさ」

北「あいつがどうかした」

横「うん」



歯切れが悪い横尾さん、その代わりに一緒にいたタマが口を開く。



玉「ガヤのこと、どう思っているの?」

北「はっ?なんだよ、いきなり」



が、唐突に聞いてきて。



玉「恋愛感情は」

北「へっ?」

玉「あり?なし」

北「なに言ってるんだわ」



ジーッと、見透かしたような瞳で俺を見つめる横尾さん。

そっか、お前らも気になっていたんだな。

あいつの様子が―



横「ミツ、太輔に何かされなかった?」



なら、俺も隠さずに全部話すよ。



北「この間、トイレで」



すると眼と目で頷き合う二人、なに?なんだわ。



横「驚かないで聞いてね」

北「はっ?」



藤ヶ谷が魔に取り憑かれている!?



北「んなバカな」




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