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月明かりの追憶

第5章 迷走する恋

それから、また少し日が経って。



藤「タマ、次のサーフィンいつにする」

玉「そうだなぁ」



賑やかな楽屋、その中で聞こえて来た話し声。

藤ヶ谷とタマ、サーフィンに行ったんだ。

ふーん、俺はお前から誘いの連絡が来たらどうしようとずっと考えていたのに。



二「うおぉー上手いじゃん俺も書いてみよ」

千「なにそれ」

二「わったーの顔」

千「似てねぇ」



なんかバカみたい…



横「ミツ?」

藤「今度はわたも一緒に行こう」

横「うん」



自分だけ独りよがりしているみたいでさ…

ふと、寂しい思いに囚われる。



横「そんな顔しないの」

北「横尾さん」

横「それじゃこの間までの太輔と同じ」



が、そう言われ あいつの気持ちを全く分かっていなかった自分に気づく。

そっか、藤ヶ谷はこんな想いで俺を見つめていたんだ。

心がキュンと切なくなり…

でも、そのあと仕事も終わり帰ろうってなったとき。



千「ねぇガヤさん昨日いっしょに歩いていた可愛い仔は誰」

藤「どうして健永が知っているんだよ」



いきなり、千賀が言い出した言葉に固まってしまう。



ニ「俺も見た、一緒だったし」

藤「マジで参ったなぁ」



藤ヶ谷?



藤「実は友達の妹で」

ニ「もしかして告白されたとか」

藤「まぁ…ね」



なっ!?



千「本当に!?で、どうしたわけ」

ニ「まさかOKしちゃったんじゃないよな」



ガタッ!



横「ミツっ」

藤「‥‥っ」

北「あ、なんでもね」



思わず、その言葉に俺は立ち上がってしまい。



北「悪い先に帰るわ、お疲れ」

宮「えっ、帰っちゃうの」

北「寄り道したければタマと行けば、じゃーな」



ガチャ、バタン!



北「チッ、なんだよそれ」



部屋から出たとたん、思わず呟く。

あれから、そんなに日が経っていないのに俺を抱いた手で今度はその仔を抱くってわけ?

あり得ね、クッ

どうして、こんなにも苦しいのか誰か教えてくれ。

マンションへと帰り、独り電気もつけず暗闇の中で俺は泣いた。

その温もりが忘れられず、強く抱きしめて欲しい優しく激しく愛されたくて。

なんだ悩む必要なんてなかったんじゃん、今さら気がついても遅いのかもしれないけれど。

そう思いつつ…




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