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月明かりの追憶

第5章 迷走する恋

・二階堂side

ミツ!



二「ガヤ、早くミツのこと追い掛けて」

藤「ニカ」



ごめん傷つけるつもりはなかったんだ、軽はずみに出してしまった自分の言葉を俺は後悔する。



横「太輔、いいの」

藤「‥‥‥」



が、ガヤは。



二「どうして?なんで追い掛けようとしないわけ」

横「太輔には太輔の考えがあるんだよ」

二「どんな?俺には分からない」

千「ニカ」

二「ミツのこと好きなんでしょ、だから魔に取り憑かれちゃったんじゃないの」

宮「そうだよ、なのにどうして?ガヤさん」

玉「お前は黙っていろ」

宮「タマ」



だから、あのとき。



二「俺は俺だってミツのこと、でもガヤだから!ダッ」

千「ニカ!」



ガチャ、バタン、堪らなくなって部屋から飛び出す。

そのまま外へと出て、何処をどう歩いたのか。

んっ?ここは…

気がついたら、見も知らぬ場所へと来ていて。

うわっ、木がいっぱい茂っている。

見上げれば、葉の隙間から怪しく月が見え隠れし。

不気味だなぁ…ゾクッ

ほんらい怖がりな自分その雰囲気に飲み込まれてしまい、その場から動けずにいたそのとき。



「迷える子羊が1匹」



えっ、いま誰かの声がした気が?



「クククッ、確保」



ザザザッ!



二「なっ、うわぁーっ」



いきなり黒い塊に包まれたかと思ったら、そこからの記憶がなく。

目を覚ますと、よく分からない部屋に寝かされていたんだ。

なんだよ、ここ?



「ようこそ我が館へ」



はっ?

見渡せば、そこは西洋屋敷みたいな所。

誰かいる…

目の前に現れた人影?いや、あれは人間じゃない。



二「うっ、わあぁー狼!?」

狼「目が覚めたようだな」



嘘だろマジで!?俺、捕まっちゃったの。

慌てて動こうとし、初めて自分がベットに縛られていることに気づく。



狼「逃げられるとでも思ったか?クスッ」

二「俺をどうする気?キッ」

狼「さすが戦士の生まれ変わり動じぬな」

二「それを知っているってことは狙いはミツだな」

狼「あぁ ニヤッ」

二「俺を人質におびき寄せるつもりか」

狼「お前のことを可愛がっているようだったからな」



冗談じゃない!

が、どうすることもできず刻は流れてく。

恐怖が漂うその中で―




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