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月明かりの追憶

第5章 迷走する恋

・藤ヶ谷side

北山に続いてニカも部屋を飛び出して行き、楽屋内を重い空気が流れる。



宮「千ちゃん帰ろう」

千「うん」



その空気に、耐えられなくなったのか。



宮「タマは」

玉「俺はガヤと帰る」

宮「そっ」

千「お疲れ」



みやと、健永も帰って行き。



横「太輔」

藤「わた俺、間違っていたのかな」

玉「そんな事ないよ」

藤「タマ」

横「裕太の言う通り」

玉「ミツはきっと分かってくれるはず」

横「気づくと思う」

藤「ありがと二人とも」



俺達は、帰りの途につく。



玉「綺麗な月だなぁ」

横「満月だね」

玉「こんな日は狼が、ガオオーッて」

藤「やめろよタマ」



と、そのとき。

“ウオオォーン、ウォン、ウォン、ウオォーン”



横藤玉「えっ!?」



一瞬、固まってしまい顔を見合わせる俺たち。

が、すぐさまわたが…



横「気のせいでしょ、ハハッ」

玉「だよね?」

藤「どこかの犬が遠吠えでもしてたんじゃない」

玉「都会のド真ん中で?」

藤「ぁ…‥」



トルルルー



藤「わた、携帯が鳴っているよ」

横「あ、うん、あれ?ミツだ」

藤玉「えっ」

横「もしもしどうしたの、ん?ニカ」

藤「???」

横「ニカなら俺らより早く帰ったけどミツが出て行った後すぐに」

玉「どうしたんだろうね」

藤「さぁ?」

横「嫌な予感がする」

藤「ちょ貸してみ」



俺は、わたから携帯を奪い取ると。



藤「もしもし、それってどういう意味?」

北「うわっ、藤ヶ谷」



なんだ、こいつ?そんなに驚かなくてもいいじゃん。



北「あ…ぁ‥横尾…さんに代わって」

藤「なに?俺じゃ不都合な事でもあるの」

北「違う…けど‥その」

藤「あぁー分かった今からそっちへ行く」

北「へっ?」

藤「へっじゃない待っていろ会って話を聞くから」



プチッ―



横「太輔?」

藤「ってことで俺、北山んちへ行ってくるわ」

玉「あはっ、どうぞ行ってらっしゃーい、クスッ」

横「何かあったら連絡して裕太と待機しているし」

藤「分かった」



このとき、ニカに何かあったんじゃないかと予感したわけではない。

ただ、さっきの狼のような遠吠えが気になっていた。

不吉な感じがし―




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