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月明かりの追憶

第5章 迷走する恋

・藤ヶ谷side

藤「おまえ風呂にはもう入った?」

北「いや、まだ」



北山んちへ行ったら、何故だか こいつサングラスを掛け出て来てさ、クスッ



藤「俺も入りたいから沸かしてよ」

北「あい」



とことことこ、ハムスターの如くちっちゃな北山が歩いて浴室へと向かってく。

やっぱり可愛いよな、フッ

数分後、とことことこっとまた戻って来て俺の隣にストンと座った



北「藤…ヶ谷」

藤「んっ?」

北「彼女が欲しいん?」

藤「はっ?いきなり何を言い出すんだよ」

北「だって…さ」



あっ、楽屋での話し。

誤解されるのも嫌だから、この際はっきり言っておくか。



藤「俺には北山がいるじゃん、ニコッ」

北「えっ」

藤「聞こえなかった?俺には北山が」

北「あわわわわっ」



とたん、焦ったかのように俺の口を塞ぎ。

おっ、おい!



北「ハァハァハァ、その先は言うな」

藤「んむっ、むむむっ、(どうして?)」

北「ハズいから…だ」



あら、クスッ ってことは気持ち固まったんだな。

グイッと押し倒せば、驚いた顔をし見つめ。



北「ふっ、藤ヶ谷」

藤「二回目しちゃおうか」

北「えっ、うわあっ」



キョドる北山、クスッ

その身体を優しく腕の中へ包み込み。



藤「今日はしないよ、でも」



ニカの行方が分かり、今回のことが解決したら。



藤「いっぱい愛し合っちゃおうね、ニコッ」

北「‥‥っ」



とたん、顔を真っ赤にし俯き。



北「ふっ、風呂…見てくるわ」



トタトタトタっと浴室へと向かい、その姿が堪らなく可愛い。

俺、理性を保てるかな?ちょっと心配になる。

だけど我慢、とにかく今はニカのことを優先にしないと。

ごめんな、俺お前の気持ち知ってた。

その無邪気な弟の顔の裏に、北山への想いがあることを。

本当に、ごめん―




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