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月明かりの追憶

第5章 迷走する恋

しかし、ニカはなかなか言うことを聞いてくれず。



二「俺、絶対に逃げないから」

北「ニカ」

二「だって、ミツを置いて逃げれるわけないじゃん」

北「おまえ」

二「俺、ミツのこと大好きなんだから」



ポロポロと、その瞳から大粒の涙が零れ落ちギュッと俺に抱きついて来る。



狼「どけ、食事の邪魔だ」

二「どかない、お前にミツを喰わせたりするもんか」

狼「くっそ、どけって言ってるだろ!グイッ」

二「放せ、このバカ狼、ミツはあげない!ミツはガヤのものなんだ」

北「‥‥っ」

狼「なら、こっちからしてやる」

二「ハッ、よせ、やめろおぉ」



が、そう言った瞬間ズボッと。



北「うわあっ」

二「ミツうぅーっ」



俺の背中に、物凄い激痛が走り抜け。



北「ぐはっ」

狼「前からじゃなく後ろからだって魂は取り出せるんだぞ」

二「その手を抜けぇーっ」

狼「あっははは」



気が遠くなりそうになる痛みの中で、聞こえて来たのは薄気味悪く笑う狼の声とニカの悲痛な叫び声。

そして、脳裏に浮かんだのは藤ヶ谷の顔だった。

悪い今度ばかりはマジで駄目かもしれない、クッ

その心が、愛する人を求めさ迷ってく朦朧とした意識の中で。




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