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千年の花嫁

第9章 嫁合わせの儀

塚ちゃんは優しい、俺が少しでも嫌な顔をしたり不機嫌になると。



塚「今のは河合が悪い謝りな」



まるで、郁人のことを躾でもしているみたいに。



河「ごっ、ごめん俺が悪かった」



実際、そうだったのかもしれないけど。



塚「はい、じゃあごっちも機嫌直して」



俺と郁人の間に、塚ちゃんという存在がいなかったら。



塚「ごっち、風呂入りたくない?今なら河合いないから大丈夫だよ」



こんな生活、耐えられなかったと思う。



五「悪いね、ハハッ」



でも、鏡の中に映る裸の自分の姿を見てしまうと。



五「はぁ…」



さほど大きくない胸、腰のくびれはハッキリとあり尻はまぁまぁ。

で、アレはなく代わりに女性器があってさ。



五「うっ…ヒクッ‥ううっ」



俺はもう男じゃないんだ、身体は女でも心は違うってことは一体なんなんだよ!クッ



塚「泣かないで、ごっち」

五「塚…ちゃん‥クッ」

塚「ごっちはごっちでしょ男とか女とか関係ない五関晃一、ねっ?ニコッ」



そんな日が何日、続いただろう。



五「嫁合わせの儀式?」

塚「そっ、明日」

五「それって」

塚「会えるんだよ友達に」



つまり、二階堂にって事か。



塚「行こう、ニコッ」

五「でも郁人が」

塚「俺も一緒だから、ごっちが嫌なら河合にその身体を触れさせたりはしない約束する」

五「なんで、そこまで」

塚「俺たち世話係りはね姫さんの精神的ケアをするためにいるんだ藤ヶ谷、あっごっちも会ったでしょ婚儀のとき」



もしかして、あの金狐?



塚「長、藤ヶ谷太輔 何度も会いに来てたんだよ」

五「えっ」

塚「ごっちの事を心配して、でも俺ら以外の妖狐には会いたくないって突っぱねてたから」



そうなんだ‥



塚「横尾もね」

五「銀の九尾、クッ」

塚「自分の眼で確かめてみたら?ごっちの友達が幸せかそうでないかを」

五「分かった行くよ」

塚「良かった、そうと決まれば可愛い服を用意しなくちゃ、ルンルン」



そう言うと、塚ちゃをは何故だか嬉しそうに行っちゃって。

藤ヶ谷太輔か…

妖狐の長なのに、一族のしきたりを嫌っていると聞く。

どうして?

ふと、その理由が知りたくなった。

そこに、北山の存在があったなんて知らず。




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