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千年の花嫁

第9章 嫁合わせの儀

横「どうした?こりゃまた凄い顔になってしまって」

千「もぉ、晴れの日だっていうのにさぁ ハァ」

横「嬉しかったか兄貴からのラブレターとプレゼント」

ニ「ううっ、わったー」

横「よしよし良かったね、おまえ本当に頑張ったから、よく乗り切ってくれたと思っている」

ニ「ヒクッ…うっ‥グスン」

横「さっ、準備をしよ、ニコッ」

ニ「コクン」



このとき、俺が流した涙は一体なんの涙だったのか?自分でも分からない。

ただ―



千「綺麗だぜ、ニカ」

ニ「そう?」

千「うん、横尾さんと俺で見立てたんだバッチシ似合っている ニコッ」



ここへ来てから、今までのことを思い出した途端ドッと溢れて来てしまい。



横「このイヤリング、ミツが河原まで行き必死になってニカに合う色を探して来たんだってさ」

ニ「河原?」

横「そこには色とりどりの石があってね」

ニ「それって」

横「一種の宝石みたいな物お前には自然な色が似合うとミツは言ってたそうだよ」

ニ「ミツ、ふっ」

横「今ニカが着ている着物も同じ色でしょ、お前に一番適した色だと思ったから俺も健永もこれに決めた」



キラキラと輝く緑の着物には、わったーの銀色が入り込み さながら天女の如くで。

髪は結い上げ、同じ色のかんざしを差し耳にはミツがくれたイヤリングが付いている。

これが俺…

鏡に映る自分の姿をボーッと見つめていると。



横「俺の自慢の妻さ、フッ」



わったーが、後ろから包み込むように抱きしめて来て。



横「胸を張り自信をもって行けばいい、ニコッ」

ニ「うん」

千「いざ、しゅっぱーつ」


こうして嫁合わせの儀式は始まろうとしていた、何かが起こりそうな予感と共に。




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