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千年の花嫁

第9章 嫁合わせの儀

五「そんなふうに思った事なんてないくせに分かったような口きくな」

河「‥‥っ」



ダメだ、それ以上言っちゃ。



五「いつもヘラヘラ笑ってやがって、どうせ頭の中はエロい事しかないんだろ」



違う、そいつは。



藤「郁人なんかもっと酷いぜ両親ともいないんだから、あいつの親は郁人を産んだあと気が狂い目の前で」



知らないのか?おまえ。



河「ふっ、そう来ちゃう?参ったねぇ アハッ」



けど、こいつは怒ることもせず笑いながらそう言い。



五「ふんっ」



その心の奥で、どれだけ傷ついてるかと思うと俺は堪らなくなってしまう。

教えてあげなきゃそれを、自分が五関にしてあげれることそれは。

河合の本当の姿を気づかせてやる事なのかもしれない。



藤「それじゃ、わたを呼んで来てくれ」



じゃなければ、ダメになってしまう。



「分かりました」



思った瞬間、藤ヶ谷と眼が合い。

“頼んだぞトッツー”

その眼は、そう言っているかのように自分の事をジッと見据えていて。

分かった、時間は掛かるかもしれないけど俺やってみるよ。

それに、答えるかのように小さく頷く。

五関は大事なダチだから、今のまま放っておくわけにはいかない。

でも、思った以上にその心は頑なで俺だけじゃなく二階堂…

そして北山も、一生懸命に話したんだけど。



五「お前らガッカリだぜ妖狐なんかに取り込まれやがって」



そうじゃない、今のお前は真実を見る眼を失っているんだ。

ちゃんと周りを見ろって。

人の心を動かすってことがどれだけ難しいことか、嫌ってほど思い知らされてしまう。

だけど、それでも諦めるわけにはいかないと必死でその心の扉を叩き続けたんだ。

五関、五関…

前を向き一緒に生きて行こう、そうすれば大切な物に気づくはずだから。

すぐ傍にそれはあるからと━




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