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子「お兄ちゃん郁人兄ちゃん、ねぇお嫁さんはどうしたの？」

子「貰ったって聞いたから僕たち会うの楽しみにしていたのに」



えっ、郁人!?



河「悪い、まだあいつにここのこと話してねんだわ ﾊﾊｯ」

子「えぇーっ、どうして」

子「お母さん代わりになってくれるんじゃなかったの、そう言ってたじゃん」

河「もうちょっと待っててな」

子「そしたら来てくれる」

子「ねぇ、どんな人？」

子「優しい？」

河「めっちゃ優しくていい奴だぜ､ﾆｺｯ」

子「愛しちゃってるんだ」

河「もちろん、ﾆｺｯ」

子「いいな僕も早く大人になってお嫁さん貰いたい、そしてたくさん愛して家族を作るの ﾌﾌｯ」

河「家族か、ﾌｯ」

子「うん、ﾆｺｯ」



ここは、いったい？



藤「驚いたみたいだな」

五「あの子たちは」

藤「全員、なんらかの事情で親を亡くした孤児さ」

五「‥‥っ」



あんなに大勢!?



藤「郁人もここで育った」

五「あいつ、いつもこうやって？」

藤「あぁ毎日来てる郁人にとってあの子達は自分の兄弟と同じだから」



そう…なんだ‥



藤「でもやっぱ一番欲しいのは本当の家族、自分の子供なんだろうけどさ」



子供…



藤「郁人がまだ小さかったとき、あいつは俺にこんなことを言ったんだ」

五「‥‥‥」

藤「自分は絶対に嫁になった奴を狂気に走らせたりはしない、いっぱい愛し子供をたくさん作って温かい家庭を作るんだって」



ズキン！



藤「願い叶えてやることは出来ないのか五関？」

五「それは」

藤「まっ、無理にとは言わないが生まれて来る子はあの子達にとっても兄弟みたいなもんだし」

五「えっ、なんで？」

藤「郁人は自分の中の苦しみを絶対に顔には出さないが、この間こんな事を言ってよ」



“なぁ、もしもだぜ俺に子供が出来たら家族してここで暮らしてもいい”



藤「で、あいつらに自分の子の兄貴になって貰い愛し方を学ばせてやるんだって」



それって、まさか。