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千年の花嫁

第10章 不器用な愛情

北「太輔、あす河原へ行って来てもいいか?」

藤「独りで」

北「いやニカやトッツーも一緒に、ニコッ」

藤「あぁ、フッ」



と、宏光はそんな俺の気持ちを察してか突然そんな事を言い出し。

翌日―



横「なんだ太輔も来ていたんだ」

藤「そういう、わたこそ」

横「いくら自由に歩き回ってよくなったからといって危険がないわけじゃないし」

藤「だから心配で過保護だなぁ、わたは クスッ」

横「人のこと言える」

藤「ふっ」



宏光たちは、たぶん五関にあげる石を探していたんだろう。



戸「うわわわっ、わあぁ」



ジャボン!



北「トッツー大丈夫か?」

ニ「あはっ、ビショビショじゃん」

戸「笑うな」

北「ニカ、人のことを笑うと自分も」

ニ「わっ、バシャン」

北「ほらな、クスクスッ」

ニ「だったらミツも仲間になれ、グイッ」

北「うわっ」



バッシャン!

しかし、なにやってるんだあいつら?どう見ても遊んでいるようにしか見えないが、クスッ

と、そのとき。



橋「あった、あったよぉー青い石が」

北ニ戸「ハッシーっ」



あいつ、いつの間に。



ニ「デカした」

戸「偉い」

北「これでネックレスを作れる」

橋「えっへん」



ふっ―



横「太輔、ニコッ」

藤「夢じゃないのかもしれないな、フッ」

横「あぁ」



妖狐と人間が、共に仲良く暮らせる世界。

それが俺の夢―

あいつらを見ていると、叶う気がして来る。

伝わるといいな、お前らの気持ち五関にさ。



橋「うぇーっ、尻尾が濡れて重いよぉ」

ニ「だから入るなって言ったのに、クスッ」

橋「だって、みんなと一緒に遊びたかったんだもん」

戸「ハッシーったら」

北「クスッ」



陽はまた昇り沈み、明日を迎える為に夜は来るだろ。

それと同じに、絶対に光りは射し込むと俺達は信じ前へ進むしかないのだから。

そう思い俺は、その光景を見つめていた。

わたと2人で―




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