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千年の花嫁

第10章 不器用な愛情

が、部屋へ戻り。



河「ちぃーす五関さまの御機嫌は如何かなぁ」

塚「河合、今日はどこへ行ってたの?」

河「それが欲しいっていうものを一生懸命探してみたんだけどよ」

五「どうせ見つからなかったんだろ」

河「明日も頑張るから」



郁人の顔を見てしまうと。



五「あるわけないじゃん俺達の世界の物なんだから」

河「そうなん?なーんだ、じゃ明日はそっちに行って探してみるわ ニコッ」

五「はっ?」



どうやって手に入れるつもり?金もないくせに。



塚「大丈夫なの」

河「なんとかなるっしょ」

五「‥‥‥」



やっぱり俺は、冷たい態度を取ってしまい。

でも、郁人は絶対に怒らないんだニヤニヤと笑っているだけで。

そんなある日のこと、雁首そろえ北山たちが 会いに来たのは。



ニ「ごっちにあげたい物があってさ、ニコッ」



差し出されたのは、青い石の付いたネックレス。



ニ「ほら見て色違いだけど、みんな付けてるんだぜ」



トッツーはピンクのネックレス、北山は赤のイヤリング。

そして、二階堂は嫁合わせのときに付けていた緑のイヤリング。



ニ「俺達の友情の証しに」

五「えっ」

北「お前は独りじゃないってことさ、フッ」

戸「たとえ何が起ころうとも、どんなことがあっても支えるから ニコッ」

ニ「一緒に頑張ろう」

五「くっ」



けどそれに対しても何も言えず、あいつらはまた来ると言って帰って行き。

その日の夜―

どうしようもないほどの感情が襲って来て、堪えきれなくなった俺は。



五「くっ…ううっ‥ヒクッ」



独り布団の中で泣いてしまう、苦しい胸の内を吐き出すかの如くに。

自分で自分が分からない…

いったい俺は、どうしたいのか何を支えに生きて行けばいいのかさえ。

いろんな事が頭の中でグルグルと回り、もうわけ分からなくなってしまってさ。

この苦しみから逃れられるのなら、そう思ったそのときだった。

郁人が傍で見つめているのに気づいたのは、優しく包み込むような眼差しで。




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