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千年の花嫁

第10章 不器用な愛情

ニ「もう、そっちの方は覚悟ができてる」

横「なら、もうないってわけ?」

ニ「わったー」

横「んっ?」



だが、こいつが聞いて来たことは。



ニ「タマも、やっぱりその過去に何かあるのかな」

横「気になっているってわけミツの世話係りだし」

ニ「まぁ…ね」

横「が、その前に宮田のことについて話しておこうか」

ニ「どうして?」

横「裕太にとって宮田は必要不可欠な存在だから」



宮田俊哉、一族の中では癒しの宮っちと言われている。

でも、その過去には。



横「両親の関係が今の郁人と五関に少し似ていたかもしれないな、フッ」

ニ「えっ」

横「母親は五関と同じで決して俺たち妖狐に心を開こうとはしなかった」

ニ「‥‥っ」

横「毎日あいつの前で喧嘩を繰り返し宮田はいつも、そんな親の間に挟まれ苦労していたと聞く」

ニ「そうなんだ」

横「そして一生懸命その間を取り持ち何とか両親が仲良くならないかと」

ニ「そんなふうには見えなかったけどな」

横「あいつの笑顔は優しさに満ち誰よりも争いごとを嫌い、その為にたとえ周りからバカにされようとも笑みを絶やさず」

ニ「だから癒しの宮っち」

横「慈愛と言ってもいいだろう決して相手を嫌いになったり憎んだりはしないんだ」

ニ「凄いなぁ、それ」

横「そんな宮田に一番救われているのが裕太」

ニ「‥‥‥」

横「裕太はって、あれ」



スースースーッ、腕の中で眠っているニカ。



横「ふっ、おやすみ」



チュッと、その唇にキスを落とし俺もまた瞳を閉じる。

“また明日”

それから、ともに寄り添い眠りにつき。

が、翌日 塚ちゃんからの報告で郁人と五関が一歩前へ進んだことを知った。

あとは子供さえ出来れば、なんとか上手く行くのでは誰もがそれを願いつつ日は流れ。

それぞれが、少しずつ前へと進みながら穏やかに過ごし。

俺とニカが、本当の意味で夫婦として結ばれたのはそれから6日目の夜。

くしくも兄弟そろって同じ日のことだった、太輔とミツの2人と。




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