テキストサイズ

千年の花嫁

第11章 不穏の兆候

・藤ヶ谷side

最近、妙な空気を感じる。



千「ガーヤさん」

藤「うおっ、なんだお前!?いつからそこにいた」

千「10分ほど前から」

藤「だったら声をかけりゃいいじゃん」

千「なんか掛けずらかったからさ、ハハッ」

藤「んっ?」

千「何を考えていたんだ」



千賀健永なぜだか俺は、こいつが可愛い。



藤「大した事じゃないよ」



まるで弟のようにさえ思えてくる。



千「ふーん、ならいいけど何かあったら言って」

藤「力になるとでも」

千「おう、ドンと来い」

藤「ふっ」



数日前、トッツーも女体化が完了し無事ハッシーと済ますことが出来たと聞く。

ニカは…



横「どうやら同じ日になりそうだよ太輔」



婚儀を行って今日で13日目、明日には宏光も完了し俺達もいよいよそのときを迎える事になるだろう。



藤「兄弟揃ってっていうのも妙な感じだな、クスッ」



が、全てが順調に進み何の不安もないはずなのに何故か心が騒ぐ。

と、そのとき。



千「なぁ、ガヤさん」

藤「なに?」

千「前にハッシーが喧嘩した妖狼がいたろ」

藤「あぁ、それがどうかした?」



健永が、気になる事を言い出し。



千「このあいだ林の近くで見かけたんだってさ」

藤「そいつ何をやっていたんだ?」

千「特に何も」



それを聞き脳裏にふと嫌な予感が走る。



藤「念のためパトロールを強化しとけ」

千「分かった」



俺たち妖狐と妖狼は昔から仲が悪い。



藤「まさかとは思うんだが」



狐は、人間界で神として祀られたり北海道ではキタキツネが保護されたりしているけど。

それに比べ狼は、人の手によって絶滅させられた過去を持ち。

それもあってか、あいつら



藤「タマ、俺がいないときは宏光から絶対に離れるんじゃないよ」

玉「何か心配ごとでもあるわけ?」

藤「うんまぁーな」



ずいぶん前の話し、子を宿した一族の嫁である人間が妖狼に喰われてしまった事がある。

復讐―

そいつは、そう言っていたらしい。



藤「ハッシーはいるか?」



もちろん、すぐやっつけたがそんな奴らが妖狼の中にはわんさかいるんだ。



橋「なに?ガヤ」



今でも、人間を恨んでいる連中が。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ