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千年の花嫁

第12章 芽生えた命

・藤ヶ谷side

ハッシーが、林の近くで妖狼を見かけてから何事もなく数ヶ月が経つ。

その間に、五関とトッツーが妊娠し。



藤「そっか悪阻はないんだ」

戸「うん、けど五関は酷いらしいって聞いたから心配で」

藤「安定期に入ったら顔でも出してやれば?」

戸「そのつもりさ、ニコッ」



数日後には、宏光とニカにも子供ができ。



北「うっ、ハァハァハァ」

玉「ミツ、苦しい?辛い」

北「大丈夫だってこれくらい、クッ」

玉「無理しなくていいから俺、ミツのためだったらなんだってする ニコッ」

北「ありがとタマ、フッ」



俺が、他の連中のところへ行っている間はタマが傍で甲斐がいしく世話をしていた。

自分の子供を作る事ができない あいつは、宏光のお腹の中の子に対し特別な思い入れがあるようで。

あんなに妬きもちを焼いていたのにな、クスッ

今では―



玉「ガヤ、こんな所に置いちゃダメだろ」

藤「えっ」

玉「ミツがつまずいて転んだりしたらどうするんだよ」

藤「あぁー悪い」

玉「気をつけろよなったく、ブツブツブツ」



俺より過保護?クスッ しかし…



千「でよ、どうやらあいつら」



健永の調べでは、妖狼たちが食料に困っているのは本当らしく。



藤「じゃなに隣町の人間が川に汚物を流し込み、それが原因で林にも影響が出て小動物が減ったと」

千「正確には他へ移動してしまったみたいなんだけどな」

藤「なるほど」



実は、俺たち妖狐の敷地が稲荷村と繋がっているように。

妖狼の敷地である林も、隣町へと繋がっていた。

だから、普段あいつらは滅多にこっちへ来ることはない。



千「んで俺らんとこから稲荷村へ行き食料を調達しているみたいなんだ」



つまりハッシーと喧嘩した妖狼も、それで家畜を襲おうとしていたってわけか。




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