テキストサイズ

千年の花嫁

第12章 芽生えた命

千「林の入り口のところに冷たい水が流れている小さな洞穴があるだろ」



そこに、村から取って来た野菜や果物・肉・魚類などを貯蔵しているらしい。



藤「ふーん考えたものだな」



が、それって奪って来た物だし問題が起こる元にならなければいいんだが。



藤「引き続き注意して様子を伺ってくれ」

千「分かった」



けど、もう既に。



河「今日はなんにしようかなぁ」



起き始めている事までは、気づいてなく。



玉「ミツ、ご飯にしよ」

北「おう、ニコッ」

玉「悪阻も治まった事だし今夜は御馳走を用意してみました、エヘッ」

北「うわっ、うまそ」

玉「たくさん食べて」

北「いっただきまーす」

藤「ふっ」



そのまま、更に数ヶ月が経ち。



藤「お前よく食うな」

北「だってよ2人ぶんだもん当たり前だろ、ニコッ」

藤「だからって、そんなに食ってたらブタになってしまうぞ、クスッ」

北「うっ、太輔の意地悪」

玉「まぁいいじゃん、その時は俺がダイエットに付き合うからさ、ニコッ」

北「じゃ安心しとこ」

藤「はあっ?」



いいのか?それで、フッ



北「なぁ太輔?」

藤「んっ?」

北「そろそろニカのところへ行ってもいい?」

藤「あぁ、ただし」

北「分かっているタマと一緒なら…だろ?フッ」

藤「俺が行けないときにはな」

北「おう」



誰もが皆、生まれて来る子を楽しみにしていた幸せな気分に包まれながら。

もう、だいぶ長く争い事とは無縁の生活をしていた事もあり俺達は警戒心が薄れ。

まさかそこに、落とし穴があるとは思ってもみなかったんだ。

が、時は刻一刻とその瞬間へ近づきつつあった。

牙を光らせて―




ストーリーメニュー

TOPTOPへ