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千年の花嫁

第12章 芽生えた命

千「おっじゃましまーす」

戸「どうぞ、ニコッ」

千「なに作っているんだ?」

橋「赤ちゃんの靴下だって可愛いだろう、フフッ」

千「うえっ、ちっちゃ」

戸「最初はね、でもすぐに大きくなる」

千「これは?」

戸「ケープといって」

千「へぇーっ」



しっかし、器用だなぁトッツーは。

ハッシーの話では、なんでも自分で作ってしまうんだって。



戸「宮田、次はこれを持って来てくれる?」



けど、そのぶん注文も多く。



宮「OK行ってきやーす」



毛糸や布といった人間界にしかない物を頼むから、まぁこいつは。

大変といえば、大変なんだけどよ フッ



戸「いつも、ごめんね」

宮「気にしない気にしない俺はトッツーの世話係りなんだから、ニコッ」



遠慮はいらないよ、そう言って微笑む宮田。

こいつ本当にいいやつだわ。



千「なぁ宮田お前は嫁さんを貰う気はないの」

宮「ない、ニコッ」



以前、宮田はこんなことを言っていた。

タマが子供を作れないから、タマが望むなら自分の精子を提供すると。

望まないなら―



宮「ずっとタマのそばにいる、ニコッ」



だから、嫁さんは貰わないって。

自分自身、人間を嫁さんにしたいとは思っていなかったから。

なんとなく宮田の気持ちが分かった、こいつ玉森が好きなんだ惚れているって。

そういう俺にとっても。



千「なぁ聞こえてる?安心して生まれて来い、どんなことがあっても俺が護ってやるから」



ニカのお腹の中の子は、家族みたいな存在だった。



ニ「千賀、フッ」



穏やかに日は過ぎて行く、このまま何事もないまま。

その日を迎えられると信じて疑わず―




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