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千年の花嫁

第13章 戦いの火蓋

・北山side

それはまるで、あのときの前世の再来のような光景だった。



塚「河合いぃーっ」



塚ちゃんが叫んだと同時に振り向いた郁人は、ニコッと微笑んでそのまま。



藤「おい、しっかりしろ」

横「死ぬな!」



茫然としている五関、何が起きたのか把握できていない様子で。

が、次の瞬間!



五「嘘だあぁーっ」

北「五関、落ち着け!」

五「郁人、郁人!俺まだ、なにも言ってな…ヒクッ」

ニ「ごっち、クッ」

五「目、開けろって郁人」

戸「くっ…うぅ‥」



とたん塚ちゃんがその身体を抱きしめ。



塚「俺がいる俺が河合の代わりに、ごっちの傍にいるから ヒクッ」



太輔の全身が、怒りで金色に光っている。



藤「あいつら絶対に許さねぇ」

横「太輔」

藤「止めても無駄だ、わた」

横「止めないよ、フッ」

千「そうさガヤさん」

玉「思いは皆、同じ」

橋「郁人の仇を取ってやる」

宮「でも姫さんたちにも危険が」

藤「そんな事は分かっているんだよ、みや だがな我慢できない事もあるんだ」

千「お前は、あの姿を見て何とも思わねぇの」



そう指差す先には。



五「郁人…ごめん…ふみ」

塚「ごっち、クッ」



何度も、何回も謝りながら。



五「郁人おぉーっ、ヒクッ」


血だらけの郁人へ頬擦りし、キスをする五関の姿が。



宮「くっ、俺だって許せないさ」



宮田、クッ



北「太輔」

藤「なんだ?」

北「俺の記憶が正しければ、この近くだよな?あの泉」

藤「おまえ」

ニ「それって生まれ変われるっていう、あの前世でミツも入れられた?」

戸「そこに沈めたら妖狐も人間に生まれ変われるってわけ?」

横「そう言われている」



じゃ…



北「頼む太輔」

ニ「ガヤ」

戸「河合をその泉へ」

藤「お前ら、フッ」



すると太輔は。



藤「五関、こいつを綺麗に洗ってやらない?」

五「…ヒクッ‥ううっ…どこ‥で?」

藤「すぐそこに泉があるんだ、ニコッ」

五「それっ…て」

藤「あぁ、コクン」

五「そしたら郁人は幸せになれるの?クッ」

藤「こいつは充分に幸せだったはずだよ、お前に会えて ニコッ」

五「うっ、うぅ、わあぁ」



ギュッ!

再び号泣する五関を優しく抱きしめる太輔。




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