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千年の花嫁

第14章 誕生そして

・二階堂side

俺とミツは、ごっちがいる孤児院へ来ていた。



北「うわっ、可愛いーっ」



ちっちゃな紅葉のような手が、その胸に添えられチューチューと乳を飲んでいる。



五「郁人によく似ているだろ?フッ」

北「五関」

ニ「ほんとだ目元なんかそっくり、フフッ」

五「俺さ」



その愛らしい小さな黒い耳を撫でながら五関が言う。



五「もう泣かないって決めたんだ、フッ」

ニ「‥‥っ」

五「天命をまっとうし玲流を育て上げてから郁人のところへ行く」

北「行くって?」

五「塚ちゃんにそうお願いした、フッ」



自分が死んだら…



五「転生の泉に沈めて欲しいって、ニコッ」

ニ「ちょ待って、あそこは」

五「そしたら俺は必ず生まれ変わって郁人を捜し今度こそ」



想いを告げる為に―



北「おまえ」

ニ「凄いな」

北「ニカ」

ニ「強いよごっちは、あんなに辛い思いしたのに」

五「辛かったよ、すっごく身体が引き裂かれるんじゃないかってくらい」

北「五関」

五「けど郁人は戻って来ない泣いたって泣き続けたって戻っては来ないんだ」



だから、転生を希望したと。



五「藤ヶ谷は自分を責めるなと言ってくれたけど」

北「そうさ、あれは五関が悪いんじゃね」

五「でも自分がしてしまった事を認めなければ前には進めないだろ」

北「‥‥っ」

五「俺が郁人を死へと追いやった、これはどんな言い訳をしたって 紛れもない事実」



認めた上で。




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