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千年の花嫁

第15章 未来への光り

藤「五関、何を祈っていたんだ」

五「郁人に知らせてたんだ」

藤「なんて」

五「もう苦しむ者はいなくなる人間も妖狐も」

藤「そうだな」



あの日、横尾さんは教えてくれた。

太輔の親父さんは、わざと憎まれ役を買って出たと。

それは、1つの賭けでもあったんだ。

妖狐と人間、2つの種族が本当に心から愛し合えたなら。

長の家に、雌が生まれてくるのかもしれない。

が、あの時代それを願うのは無理だったからあえて。



北「太輔」

藤「んっ?」

北「俺はもう、あの人を憎んだりはしない」

藤「ひろ」

北「きっと、一番傷ついていたのは太輔の親父さんだったと思うから」

藤「かもしれない親父のやつ」

北「やっぱ親は親、子は子なんだわ ニコッ」

藤「あぁ」



今は感謝している、あんたのお陰でこうして太輔と一緒にいる事ができ。

ちゃんと約束は守ってくれていたんだ、千年の歳月を経て。

夜空に輝く黄色い月は、俺達の世界とこの世界が繋がっている証。

母さん宏光は幸せに生きています、ニカ・五関・トッツーも一緒に凄く幸せだから。

語りかければ、返事をするかのように流れ星が落ちた。

静かな夜に―




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