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千年の花嫁

第19章 愛する人へ

暫くして。

「ウオオーン」「ウオオーン」

林の方から妖狼たちの遠吠えが聞こえ。

始まったか…



塚「大丈夫こっちには来ないから」



けど、ごっちは黙ったままジーッと声がする方を見つめていて。

夕刻―



「帰って来たぞぉ」

「長だ副長もいる」

「みんな無事か」

「怪我人の手当てを」



それを聞きダッと走り出し。



塚「ごっち!」

五「藤ヶ谷、横尾、玉森、千賀」

藤「五関、フッ」

五「怪我は」

横「ない大丈夫だ、ニコッ」

五「良かったぁ」

千「心配いらないって」

五「うん」

玉「みんな無事だよ」



その心境を思うと辛くなる。



北「太輔」

藤「約束通り無事に帰って来たよ」

横「決着はつかなかったけどね」

ニ「どういうこと渉」

横「一時休戦ってとこ」

戸「休戦?」

千「奴らの方でアクシデントがあったらしい」



んっ?



ニ「どんな」

横「さぁ、いきなり引き揚げてしまったから分からないんだけどさ」

玉「深追いは危険と判断し俺らも戻って来たってわけ」

北「ふーん」

橋「じゃまた戦いに行くってこと」

藤「そうなるだろうな」



そうかって、えっ?

一瞬、ごっちの表情が険しくなった気がした気のせいだよね。

その夜は不気味なほど静まり返り、一時休戦とはいえ戦いに行った一族の中で半数の仲間たちが傷を負っていた事もあり。

みんなグッスリと眠り込んでいたんだ、更け行く中。




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