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千年の花嫁

第20章 今を生きる

・二階堂side

「ニカ、ニカ」夢の中でタマが呼ぶ、元気な赤ちゃんを産んでくれと。

ガバッ!



ニ「タマあぁ」

横「大丈夫だよ、よしよし」

ニ「渉、クッ」



ギュッと抱きつく俺、妊娠してから情緒不安定になってしまったのか。

時折、夢を見るんだ。



藤「そうかタマの、あいつが何か伝えたいのかもしれないな」



そんなある日のこと。



ニ「孤児院へ?」

横「あぁ悪阻も治まったし五関や玲流の顔を見がてらどう?」

ニ「いいけど」



意味深な渉の誘いに乗り。



塚「いらっしゃい、ニコッ」

ニ「ごっちは相変わらず」

塚「うん」



まずはダチのところへ。



ニ「よっ、久し振り、ずっと来れなくてゴメンな」

五「スースーッ」

ニ「俺さ、また子供がデキちゃって ハハッ」



ふと外へ目を向ければ。



玲「待ってえぇ、安井ちゃーん」



あれは玲流?



安「ほら早くしないと置いてくよ」



その前を行く白狐は、まだ若いみたいで尻尾が1本しかなく。

へぇー可愛いじゃん。

それから、暫くし渉に呼ばれ行ってみると。



安「初めまして安井謙太郎といいます」



あっ、さっきの白狐。



横「どう?」

ニ「どうって」

横「連れて帰ろうかと思うんだけど、フッ」

ニ「へっ?」



渉の話しによればあの戦いの最中、両親と弟を失い孤児院に間借りしているという。



横「これも何かの縁、俺はそう思うんだけどね」

ニ「えっ?ちょっと待って千賀は」

横「あいつは今、心の休養が必要わかるだろ?お前なら」



宮田が消え、その責任を一身に感じ落ちてしまった千賀を。

ガヤは引き取り、タマの代わりにミツの世話係りとして面倒をみてる。

タマを失った俺達とミツ、家族を失った安井謙太郎。

ふっ、そうかもしれないな。



ニ「安井ちゃんでいいの」

安「えっ、どうして知っているんですか」

ニ「さっき玲流がそう呼んでいたのを聞いたから」

安「はい、ニコッ」



タマ、こいつならきっと俺たち兄弟の癒しになってくれそうな気がするよ。



横「よし、決まり」

安「宜しくお願いします」



傍へ置いてやってもいいのかもしれないな。




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