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千年の花嫁

第20章 今を生きる

・藤ヶ谷side

蒼空が嫁入りする。



蒼「パパ」

藤「んっ?」

蒼「そんな顔しないで心配しなくても蒼空は立派に役目を果たしてみせます」

藤「蒼空、フッ」

蒼「はい」

藤「頼むな」

蒼「ニコッ」



俺の可愛い1人娘。



「うわぁーっ、蒼空さまだ綺麗だなぁ」



この日、蒼空は。



「なんと愛らしい、お姿」

「我らが蒼空さま、バンザーイ」

「一族の子孫繁栄を願い」

「琉衣さま蒼空さまが早く子宝に恵まれますように」



一族の前で花嫁姿を披露し。



琉「蒼空、ニコッ」

蒼「琉衣、フフッ」



琉衣との初夜を迎えたんだ。



北「太輔、抱いてくれ」

藤「ひろ、ギュッ」

北「もっと強く」



チュッ!



北「あっ、んんっ、もっと、もっとぉーっ」



将来、一族の長となる琉衣に抱かれるということは。

すなわち、全妖狐の花嫁となった証し

今後は、一族たちとも交わって行く事となるだろう。



北「ああっ、あっ、あぁー蒼空、蒼空あぁーっ」



ひろ、大丈夫だ琉衣が傍についてる。

琉衣の子を産んだ次は絆果、それから玲流や蓮など次の世代を担う妖狐たちの子供を産んで行くのが決まり事。

それが、女王たる者の務め。



藤「あいつは俺たちの子だ心配はいらない、フッ」

北「太輔」



そして―

数十年、数百年の後は妖狐の一族は本来の形へと戻っているに違いない。

俺の役目は終わった、フッ

ちょっと長く生き過ぎてしまったからな、もう思い残す事は何もない。



北「何を考えているんだ」

藤「んっ?ニコッ」



ギュッと、その身体を強く抱きしめる。

宏光、お前がここに来たのは17のときだった。

1年後には琉衣と蒼空を産み今は34か、フッ

女体化によって縮まってしまった人間の寿命は40数年

それまでは頑張るさ、お前を独りにさせたくはないから。

が、その前に。



千「ガヤさん大変だぁガヤさーん」



わた、お前も俺と同じ考えだったんだな。



藤「それマジか!?」



来世までも添い遂げたいと誓いあった2人が、一緒にあの泉へ身を投げたのは。

それから5年後のことだった、転生を願い。




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