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千年の花嫁

第21章 再会"明日へ"

藤ヶ谷、見てる?

琉衣は立派な長になったよ、転生の泉に沈んだ10の魂。

河合・五関・宮田と玉森、横尾・二階堂・トッツー。

ハッシーは…

トッツーが亡くなって暫くした頃、あとを追うように病でこの世を去った。

そして藤ヶ谷と北山、俺と千賀も今から行くから

“お待たせ”



「おせぇよ」



そんな声が聞こえて来そうな泉の中へ2人して身を沈めてく。

仲間たちとの再会を信じて━

時は流れトッツーと北山、二階堂が願った通り伝説は塗り替えられて行き。

100年の年月が経った頃…



「塚ちゃん」

「おはよ今日もいい天気だね、ニコッ」



晴天の青空を見上げながら。



「なぁ村中の噂になってるぜ最近、月がうっすら赤くなってるって」



生まれ変わった俺の隣には。



「あの言い伝え、やっぱ本当だったのかな?」



そうだよ、フッ

ここは、嫁入り伝説が語り継がれている稲荷村。

転生の泉に身を沈めた俺達は、言われていた通り人間に生まれ変わった。

北山が息を引き取ったあと、あの書物に文を書きたし稲荷神社に置いたのは自分。



「ってことは俺らの傍に妖狐の生まれ変わりがいるってことか」



いつか―

月が赤く染まり始めたとき、人間に転生した妖狐たちの記憶は甦り。

愛しき姫と再会したなら、裏稲荷の扉 開きて妖狐の子孫たち村へとやって来るであろう。

人間と妖狐が、共に仲良く暮らせる空間を作る為に。

それは今は亡き長、藤ヶ谷の想い。

花嫁となった、4人の少年たちと周囲にいた妖狐たちの願いでもあった。

それを今度こそ平和な世で。



「行こう河合」

「おう、ニコッ」



笑顔が眩しく輝いている、紡いで行こう俺はずっと傍にいるから。

大好きな河合の傍に―




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