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千年の花嫁

第3章 妖狐の一族

横「昔の話し」

五「‥‥っ」

横「銀の五尾が初めて嫁を貰った」

五「えっ…ぁ‥」

横「おっと悪い急に言っても分からないよね」

五「まぁ」

横「俺達は人間と違って寿命が長い知っているとは思うけど。だからってしょっちゅう人を拐い嫁にしているわけじゃないんだ」



何百年、いや長い時は千年。



横「こいつだと本能が感じた奴に出会わなければ半端ないほどの歳月を待ち続けなければならない」



そうなのか。



横「お前らには想像もできないような長い年月を」

五「それで?」

横「やっと巡り会えた喜びで、そいつは1日に何回も激しく抱き続けた」



それって、まるで今の郁人みたいじゃん。



横「そして当然の如く身体が女体化してく」

五「ちょ、待てって!それじゃ」

横「婚礼の儀のとき飲まされたものを覚えている」

五「あぁ」

横「あれは人間の世界で言えばホルモン剤のようなもん」

五「なっ!?」

横「ただ、お前らが知っているのと違うのは姿形だけじゃなく中身も、つまりは子宮や排卵までもが起こり完璧な女になってしまう」



ってことは…



横「俺らに惚れようが惚れまいが女体化するのは避けられないってわけ」

五「なら、どうしてあんな嘘を」

横「嘘も方便って言うでしょ理解して貰えないだろうけど俺達なりの気遣い思いやりみたいなもん」



どう足掻いたって来てしまったら、二度と帰ることは出来ないんだから。



横「それに」



自分たちは、子供を作る為だけに強引に拐って来るわけじゃない。



横「連れて来たからには精一杯の愛情を注ぐ」



愛し合いたいんだと…



五「じゃどうして俺に本当のことを?」

横「これは俺の直感だが、お前には誤魔化しがきかない気がしたから」



ならば真実を話した方がいいのかもしれない、そう思ったってわけか。




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