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千年の花嫁

第3章 妖狐の一族

五「で、それから?」

横「その少年は今のお前と同じでどんなに愛情を注いでも心を開いてはくれず」



だから俺に、この話しを?



横「結果、身体が変化してしまっただけではなく妊娠までもしてしまった自分を嘆き自らの命を絶ってしまった、クッ」



なっ!?



横「五関、お願いがある」

五「なに?」

横「自分から絶対に死んだりしないでくれ」

五「‥‥っ」

横「勝手と思われても仕方がないけと俺達はそうされるのが一番辛いんだ」

五「なら連れて来なければいいじゃん」

横「ふっ、お前らの言い分からすればそうだろう」



しかし妖狐はそうしなければ子孫を残すことができず絶滅してしまう、こいつは悲しげにそう言った。

それから家に戻ると…



河「ごっ、五関」

五「‥‥っ」



郁人は、物凄い勢いで抱きついて来て。



河「もっ、頼むから心配かけないでくれ心臓が止まるかと思ったじゃん」



その姿に、一瞬 罪悪感を覚える。



横「お前も、もう少しこいつの気持ち考えてやらないとまた同じことを繰り返すよ」

河「でも分からないんだ、どうしたらいいのか クッ」



俺は知らなかった。



横「とにかく優しくしてやりな身体が変化し始めて情緒不安定になっているんだ、なにかあってからでは遅い」

河「うっ、分かった」



郁人が孤児で、親の愛情を受けずに育ったこと。

そして、横尾が話していた銀の五尾とは自分のことだったってことも。

あいつ、郁人はいつも笑っていたから。

その悲しみを胸の奥にしまい込み見せようともせず、俺の前では…




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