無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

・北山side

北「ただいま」



ダダダッ！



母「宏光、ぎゅっ」



とたん母さんに強く抱きしめられた。



母「良かった…良か‥ｸｯ…帰って来てくれて」

北「親父は」

母「村役場へ行ったわ」



そっ、ニカのことで。



母「それより、お腹空いてない？なにか作るわね」

北「母さん」

母「なに？」



俺は自分の親とちゃんと向き合おうと、前からずっと気になっていたことを聞いてみる事にする。



北「俺の本当の父さんについて教えてくれる」

母「えっ」



物心ついたときには、もう母さんと２人きりで父親の顔は写真でしか知らない。



母「どうして今さら」

北「知りたいんだ知らなければならない気がする、だから」



こんな事が起きてしまった今だからこそ。



北「頼む俺には知る権利があるはず、そうだろ」

母「分かった話すわ父さんとは」



母さんの話しは知り合った頃のことから始まって。



母「それから貴方が生まれ、そしたらあのひと驚くようなことを言い出したの」



“ねぇ実家に連絡しなくてもいいの結婚式いらい貴方の両親にも会ってないし一度孫の顔を見せに”



「ダメだ、あそこへは絶対に宏光を連れて行ってはいけない」



そこで初めて、母さんは稲荷村に伝わる狐への嫁入り伝説を聞いたと言う。