テキストサイズ

千年の花嫁

第2章 甦った伝説

それは12日間続き、赤い月の光りに照らされた少年の姿に魅せられた妖狐が自分の嫁にするため拐ってく。

そう言い伝えられていた━

だから、この村ではその間の週末を祭りの日と定め妖狐に嫁として選ばれた少年へ哀惜の意を示すようになったんだと。

拐われた少年のことは3日経つと忘れてしまうから、いなくなったと分かった時点ですぐ。

神社にある狐の嫁入り記録帳に記載するのが習わしとなっているらしい、変な話しだわ。



五「俺、前から一度その記録帳ってやつを見てみたかったんだよな」

戸「そんなの見てどうするの」

五「いや単なる興味本位」

北「五関はそういうオカルト的な事が好きだかんな」

五「まぁーねだってさ面白そうじゃん、クスッ」

戸「そう?全然興味ない」



でも、それから3日後。



「五関さんところの晃一君がいなくなったそうだ」



嘘っ!?



「まさか神隠し」

「ここ数年なかったのに」

「また動き出したという事じゃ妖狐が」



月が赤くなった最初の日の晩、五関は忽然と姿を消してしまう。



母「あぁ、どうしましょ、あの人が言っていたことが本当に」



あの人とは、俺の亡くなった父さんのこと。



ニ「母さん大丈夫だって、そんなことないすぐ見つかるよ」



この村の出身だったと聞く



母「だから、ここに来るのは嫌だったのに」



それから、更に3日後。



戸「おはよ北山、二階堂」

ニ「おはよー」

北「‥‥‥」

戸「どうかした?」

北「んっ?あぁ、なんでもない」



なんだろ?この違和感。

俺達は、すっかり五関の事を忘れていたんだ伝えられている伝説の通りに。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ