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千年の花嫁

第7章 希望の花嫁②

横「自分を震い立たせなければ気弱になってしまいそうで」

ニ「そうだったのか」

横「本当はそんなに強くはない、一度失敗していれば誰だって同じことになってしまうんじゃないかって怖くて仕方がないもの」



するとニカは―



ニ「俺は、そんなふうにはならないから」



そう言い。



ニ「千賀が言っていた事ってこういう事だったんだ」

横「あいつは、そんな俺の姿をずっと見て来たからついお前に言ってしまったんだと思う」

ニ「ずいぶんと慕われているじゃん」

横「小さいとき親を亡くしてから面倒を見てやったせいだろ」

ニ「じゃ千賀も悲しみを背負っているわけ?」

横「俺たちの一族のほとんどが全員、だけど一番傷が深いのは太輔だけどね」

ニ「‥‥っ」

横「ニカ、いま俺たち妖狐が何よりも欲しいと願っているものは何だと思う」

ニ「んっ?」

横「愛さ、そして生まれて来た子はその象徴でなければならない」



なのに…



横「人間を嫁にするようになってから一族は欲に溺れ生まれた子はそれを知らずに育つ子が増えてしまい」



気がつくと、自分の感情と性欲を吐き出すだけの獣と化してしまっていた。



横「自分も、その1人だったんだ」

ニ「なっ!?」

横「そんな俺に太輔は何度も忠告をした、が聞く耳をもたず」



しかし、これじゃいけない。



横「そう思ったのは、あいつが自らの命を絶ってしまった時だった」

ニ「辛かっただろ、クッ」

横「ニカ」

ニ「なんも…知らないで‥ごめん…ヒクッ」

横「いいんだ、これは一生背負わなければならない俺の罪、欲に溺れ大切なことを忘れてしまっていた自分の」

ニ「わったー」



ギュッ!

と、ニカは俺に抱きついて来て。




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